湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

多様な言語

スイスの有力銀行、クレディスイスの破綻が確実なものとなり、それを回避するためにもう一つの有力銀行、UBSがクレディスイスを買収することが発表された。

2008年の金融危機(リーマン・ショック)の際に、日本で金融企業に勤務していた私は「この先会社はどうなってしまうのだろう?」と不安を抱えていた事を思い出した。

昨夜、スイス連邦政府の記者会見が放映されたので、ほとんど理解できないながらも興味深くTVの画面に見入っていた。

まずはフランス語で会見の手順が説明されて始まった。連邦閣僚のコメントもフランス語、ドイツ語、そしてUBSのチェアマンは英語と、日本では考えられない言語構成。記者からの質問もドイツ語だったりフランス語だったり英語だったり。そして感心したのは、閣僚がその都度質問された言語に合わせて回答していたこと。少なくとも3か国語をこのような難しいトピックについて完璧に使いこなせるということだ。

ドイツ語を勉強し始めてから2年ちょっと。進歩がなかなか見えないながらも、わかることは増えてきた。それと同時に英単語がどんどん頭の中から抜けてきているのを実感している。覚えたドイツ単語に比べて抜けていく英単語の方が断然多いのがどうもバランス悪くてショックなのだが。そしてドイツ語と英語は似ている単語も多いため、頭の中で一緒になってこんがらがることも多い。今や完璧にスイッチを英語モードに切り替えないと、簡単には英語の会話もできなくなっている。ということは、3か国語以上を頭の中でスイッチを即座に切り替えて使いこなすのはかなり難しいということだ。

スイスでは、普段の生活でも周りに多様な言語が溢れている。3か国語以上話せるのは普通のことで、初めてスイスでゴルフをした際も、一緒の組で回ることになったマダムに「英語しか話せないの?ドイツ語は?イタリア語は?」と聞かれて恐縮してしまった。

それでも昨晩の記者会見を見ながら「意味がわかった!」という小さな喜びもいくつかあった。以前通っていたドイツ語学校の先生も「できないことを嘆くのではなく、できたことを見つけて自分を褒めてあげましょう」と励ましてくれた。この難解な言語を学ぶのは最初は辛いばかりだったが、最近は少し楽しくもなってきている。お付き合いは避けられないのだから、小さな喜びを積極的に見つけて頑張ろう。

話は逸れるが、昨晩の会見に出席していたクレディスイスのチェアマンは私の友人の友人、出席していたジャーナリストの一人は先月一緒に食事をした人だった。やはりスイスは小さい国だ。