湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

オランダ旅行番外編:飛行機に乗り遅れる

楽しい旅はあっという間に終わり、スイスへ帰国する日。

朝早くにまず日本へ帰国する友人がホテルを去り、午後にアムステルダムのスキポール空港から出発する私は約半日時間があったのだが、雨だったこともあり、ホテルでのんびりしてから早めに空港へ行って空港で時間を潰そうと思った。

スキポール空港には国立美術館の分館とミュージアムショップがあり、そこに行くのが目的でもあった。でも、到着してみると美術館の場所がわからずうろうろ。時間だけはたっぷりあるので人に聞くこともせず、しばらくして「あ、セキュリティーを通らないと無いのか!」と気づく。が、セキュリティーを通った先にも見つけられず、買い物をしたお店の店員さんに聞いてみると「このセクションからは行けないのよ」と聞かされてショックを受けた。

しかしもう戻ることもできず、仕方ないので軽食を食べ、本を読んだり、ネットニュースを読んだり。私のチューリッヒ行きフライトは15:15出発で16:45到着だったのだが、そうこうしている間に私の頭の中では、長い待ち時間➡16:45出発に変換されてしまったようだ。冷えて来たので暖かい紅茶を飲もうと自分の出発ゲート近くでカフェを探したが無く「まだまだ時間があるのだから」と違うゲート方面へ向かう途中のカフェに入った。

お茶も飲み終わろうかという頃「ボーディング時間をもう一度チェックしておこう」とスマホを見ると、【ゲートクローズ 15:00】。そしてそれを見ているスマホの時計は15:15を指している。どういうことかわからず一瞬ぽかんとした後パニックになった、というか、やっと自分の間違いに気付いた。

大慌てで自分のゲートに走るが、何せ遠い。「どうか飛行機が遅延していますように!」と祈りながら、口がからからに乾いて足ももつれる程走ったけれど、こういう時に限って定刻通り出発。カウンターでは「もう出ちゃったわよ。〇〇のカウンターへ行ってね」

まさかの事態に、そして自分のうっかり具合にショックを受けながらも乗り継ぎカウンターへ向かうと、そこは長蛇の列。どういう手順になっているのかもわからないまま列に並んでみたけれど、1時間待っても全然動かない。私の前に並んでいたドイツ人の男性が話しかけてきたが、どうやら英語は話せないらしく、何となくわかる単語だけで彼の訴えを想像するに、「自分のベルリン行きのフライトがキャンセルになり、翌日の便に振り替えられてしまった」とのこと。そして私の後ろの女性がしびれを切らして文句を言い始めた。

女性:いったいどうなってるの?全然前へ進まないじゃない!

係員:我々も最善を尽くしています。受付番号は取りましたか?その順番で対応しています。

受付番号?何それ??周りがざわつき始めた。

女性:受付番号?そんなの知らないわ。いったいどこで取ればいいの?

そして係員が指さしたのが、長蛇の列の内側にある機械。待つ人が多すぎてその機械が隠れていたため、誰もその存在に気付いていなかったのだ。皆わらわらと機械に飛びついた。私は困っているドイツ人男性にまず機械をあてがい、ドイツ語モードにして「これで要件を選んで番号を取るみたいですよ」と伝え、その隣の機械で自分の番号を取った。でも自分の番号はまだまだ先。そこからまた長い待ち時間。

その間にドイツ人男性は係員に何か言われて列を外れて行った。どうやらその日のホテルも既に手配され、そこで対応を待つ必要はなかったようだ。かたことだけれどドイツ語を喋る私に仲間意識を持ってくれたのか「私はここで待たなくても良いみたいだ。気を付けてね」と言って離れて行った。と思ったら、しばらくしてまた戻って来て私に何か助けを求めている。でも私では埒が明かないので、係員を無理やりつかまえて「この人を助けてあげて!」と伝えた。ホテルへ行くためのバス乗り場がわからなかったようだ。どうせまだ待つのだから私が係員から英語で聞いて(係員もドイツ語はかたこと)正しい乗り場に連れて行ってあげようかとも思ったが、万が一その間に自分の順番が来たらと思うと怖くてできなかった。そして再度お互いに「気を付けて!」と励まし合って別れた。

2時間近く待ってやっと私の番号が呼ばれた。カウンターでは、

係員:どうしたの?

私:飛行機に乗り遅れました

係員:どうして?

私:えーっと、ゲートに行くのがちょっと遅れまして・・・

PCに向かう担当の女性にパスポートの提示を求められたので渡すと、

係員:あなたどこから来たの?

私:(どこからって)アムステルダムからチューリッヒに帰るところなんです

ここではたと気が付いた。EU加盟国のオランダとシェンゲン協定加盟国のスイスは、入国の際パスポートコントロールを受ける必要がないため、スイスから来た私の入国記録は当然載っていない。なのに日本のパスポートを渡したので「いったいこのアジア人はどこから現れたんだ?!」となったのだ。危うく不法滞在者と間違われるところだった。

慌てて「あ、今はスイスに住んでいるんです」とスイスのIDカードを提示すると納得してくれた。

係員:17:50の便があります。通常は17:20発だけど今日は遅れてるの。ゲートDだから今すぐ行って。普通は代金払ってもらうんだけど、今回だけは特別よ。

私:本当にありがとうございます。もう絶対遅れません!

係員:もう遅れないでね。お願いね。

この時点で17:00過ぎ。あ~次の便が遅れてて本当に良かった。かくしてその日の内に無事にチューリッヒに降り立った。

乗り継ぎカウンターで長時間待っていたため、色々な理由でそこへ来る旅行客の訴えや怒りもいっぱい目にした。乗り遅れた人達は疲れや不安もあり当然口調も厳しくなる。その都度きびきびと対応する係員。ストレスフルな仕事だな~と同情した。そして、そんな所に私のようなうっかり者が。ひたすら申し訳ないと反省。

以前、会社の後輩がどこぞの空港で本を読んでいたら自分のフライトに乗り遅れたという話を聞いて「そんなうっかりさんがいるんだ!」とびっくりしたことを覚えていただけに、まさか自分が同じ失敗を犯すとは。

空港での長過ぎる待ち時間は危険です。皆さんもお気をつけください。