湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

国民性の違い

スイスでスイス人の友達を作るのは難しい。

これは多くのスイス在住外国人が言っていることで、私自身も実感している。

その理由に『スイス人はシャイで奥手だから』というのも見かけるが、本当にそうなのだろうか?シャイで奥手というよりは、自分に害が無い限り他人に干渉しないというスタンスゆえのような気がする。

とはいえ、九州と同等の国土の周りを西ヨーロッパのEU加盟大国(リヒテンシュタインは除く)に囲まれ、EUにも加盟せず、1815年から永世中立の姿勢を保ち、独自路線を貫いてきた歴史があるので、自国を守るためにはそうならざるを得なかったのだろうということも理解できる。

確かにスイス人の友達はなかなかできないが、その代わりに私は現地に住む外国人の友人達にとても助けられている。

日本人の知り合いには他の日本人女性を何人も紹介してもらい、今では不定期に集まって日本語でお喋りを楽しんでいる。スイスの社交はカップルが基本だが、やはり母国語で心置きなく喋れて、日本では普通の同性同士の集まりはよりリラックスできる。

アメリカ人の友人にも彼女の知り合いのアメリカ人、アジア人を紹介してもらい、街のイベント情報などももらっている。私は高校時代にアメリカに留学していたこともあり、アメリカ人の友人・知人はいっぱいいるが、多くの人が自分のネットワークにどんどん他者を受け入れてくれる。これは彼らのとても寛大な国民性と言えると思う。

ドイツ人の友人には

「私は家族に月に一回しか会えなくて寂しいのに、日本じゃなかなか帰れないからとても寂しいでしょう」とか、

「私でさえスイスドイツ語は集中して聞いていないと何言っているのかわからなくなるから、Igelには本当に難しいよね。でも標準ドイツ語はすごく上達しているよ」とか、

「Igelがここに住んでくれて、友達になれて嬉しい」なんて、涙が出そうになる程嬉しいことを言ってくれたり、励ましてもらっている。

きっと皆同じ体験をしてきて、より一層同じような立場の人達を助けたいという気持ちが強くなるのだろう。私自身もそう思っている。

かといって、スイス人が冷たい訳ではない。近所の道を歩いていれば、皆笑顔で挨拶してくれるし、差別を感じたことは今のところ無い。高齢者や障害者に手を貸すシーンなどは日常で頻繁に見られる。

そして基本的にスイス人は保守的な人が多い。これは食べ物に関しても言えて、夫Mの家族は全員ではないが、『日本食?生魚?そんな食べたこと無いものは食べたくない』という感じ。何せMのお姉さん家族は日本に旅行に来て、お鮨もお刺身も一切食べなかったというツワモノ揃いだ。

そんな家族の中でもMは比較的オープンマインドで、私が作る料理は大抵食べるが、たまに試してもいないのに最初から『まずそう』と決めつけることがある。日本人の私は食に対して貪欲なので、食べた事無いものは『とりあえず食べてみる』が当たり前なので、最初はびっくりした。日本の食や文化を否定されているようで、初めの頃こそ「試してもいないのに決めつけるのは良くない」と説得しようとしていたが、最近はそれも国民性&個性と諦めることにした。お土産にもらった大好きな日本のゴマ煎餅も独り占めできるんだから、むしろラッキー!と思うことにしよう。