湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

NOと言えない日本人

この夏から、友人家族が交換留学生プログラムで日本人の高校生を1年間あずかることになった。

私自身が交換留学生としてアメリカに留学したその昔は、通信手段といえば手紙と電話ぐらい。と言っても留学前は英語が喋れるというレベルではないので手紙のみ。ホストファミリーと自分との間でお互いを認識する手段は写真だけだったが、今や実際に留学先に渡る前からSNSやビデオ通話など通信手段は色々あるので、春頃から友人家族はその日本人留学生Kさんと交流を開始し、彼女の到着を心待ちにしていた。

友人家族はとても楽しい一家で、オープンマインドだし出かける事もイベントも和食も大好きなので、Kさんが充実した一年を過ごせること請け合い。Kさん自身も明るく積極的で何にでもチャレンジするタイプなので、とても上手くいっているようだ。

ただ、奥さんのNが私にこう言った。

「Kは決してノーと言わないの。この前だって夜の11時に川沿いの(外灯の無い)道で犬を散歩させて来てって言ってみたら断らないのよ。彼女はまず嫌なことは嫌と言うことを学ばなくちゃいけないわね」

確かに、私自身もなかなかノーというのは難しく、他の友人にも「Igelはノーと言わないけど、嫌だったらはっきり言ってね」と言われたことがある。

日本人の感覚だと、例えば何かを頼まれた際、まず相手の希望をなるべく叶えたい。それが無理な場合は、相手の気分を害さないように断る言い方を考える。と、この経緯をたどるため、実際にノーと言うまでに時間がかかるのだと思う。更には慣れない言語での会話のため、日本語だったらすぐにジョークだとわかることも、一所懸命にヒアリング→やっと理解→回答を考える→返答、となるため、タイムラグが生じる。

とはいえ、こちらは嫌なことは嫌と言うのが当たり前で、他の人と違っていようが自分の意見を持っていることが良しとされるお国柄。日本人のどっちつかずな態度にイライラするようだ。

生まれ育った日本で身についてしまったこの感覚を変えるのは本当に難しいのだ。でもあの穏やかな友人Nが、言語よりもまず先に学ぶべきこととして挙げた「ノーと言うこと」はスイスで生活していく上ではとても重要なのだろう。私も早くノーと言える人にならなければ。耳が痛い。。。

Kさんを歓迎して森の中でBBQ&クリケット大会