湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

やっかいな承認欲求

昨日初めてインスタグラムに写真を投稿した。

アカウント自体は数年前から持っていて、渡瑞の際も友達や知り合いから「インスタにスイスの写真アップしてね~」などと言ってもらっていたのだが、そもそもITが得意ではなく、世の中に訴えたいこともそんなに無い。という訳で何もしないままスイスに住み始めて2年以上が過ぎていた。

コロナ禍真っただ中だったということもあり友達も出来ず、その中でわからないことを多くのブログから学ばせてもらったので、「私の情報が今後誰かの役に立つことがあるかも」と思ったのと、どんどん投稿が流れて行くインスタより、読みたい人が自分で記事を探して読めるブログの方が自分には向いている。文章を推敲しながら書き上げるのが結構楽しいという事にも気づき、ブログを始めることにした。

そして今やブログで手一杯なのに、なぜインスタも始めることにしたのかというと、昨日スマホの画面にちらりと映ったメッセージ送信リクエストに気が付いたからだ。『Oさんがメッセージを送信する許可を求めています』

「ん、Oさん?日本でのテニススクール仲間じゃない。何かあったのかな?」

実はインスタは数人の投稿を見るのだけが目的のため、自分をフォローしてくれている人を敢えてフォローバックもしていなかったのだ。

開いてみると、何と渡瑞当日の『旅立ちの朝良いお天気で良かったですね。そのうち写真見せて下さいね』から、『コロナ大丈夫ですか?』『オリンピック始まりました』『今度皆でテニスします』と過去2年半の間に何度もメッセージをくれていたのだ。

何て不義理をしていたことか、と早速フォローバックをしてメッセージを返信し、何回かやり取りを交わした後、『気が向いたらインスタで写真見せてね』と。そうか、日本から離れてもう随分経つのに、まだ「どうしているのかな?」と気にかけてくれる人もいるんだな。

ブログを始めた今も本当に数人の友人にしかそのことを伝えていない。伝えると「読んでね」という無言のプレッシャーを与えてしまいそうだし、自分の生活や考えていることを多くの知り合いに共有するのも抵抗がある。だったら私のことを知らない人だけれど、ブログの内容だけを共感してもらえたり、楽しんでもらえたりする方が気が楽なのだ。けれど、ブログの存在をお知らせするまでではないけれど、Oさんのような人もいることに改めて気が付いた今、写真&一言だけでインスタデビューしようという気になった。

ところが、他に不義理している人があってはいけないと、知っているフォロワーをフォローバックしだしたらすごい情報量が入ってくるようになり、彼らのフォロワーの数や『いいね!』の数も目に入るようになり、自分では求めていないと思っていた承認欲求が頭をもたげかけてきた。

いけない、いけない。自分の承認欲求を満たすためにやっているのでは無いことを改めて認識しなければ。でないとSNSに生活の主導権を握られてしまう。

新しい記事を投稿しなければ、より共感を得られるような内容にしなければ、もっと素敵な写真を撮らなければ、と『なければ』のプレッシャーに追われることになってしまう。

今回この記事を書きながら再度自分に言い聞かせている。「数人の人だけに見て、読んでもらえるだけで十分」と。

散歩中の一枚