スイス国内列車旅行:③リヒテンシュタイン
サンモリッツを訪れた後は、普通列車でリヒテンシュタインの首都ファドゥーツへ向かう。グレイシャー・エキスプレスはどちらかというと山間部を走ることが多かったが、今回の行程は結構街中を走ることが多かった。日本のJRは都市部では大抵高架になっているが、スイス国鉄のSBBは個人的印象で日本の私鉄のような敷設。駅によってはどこからでもホームに立ち入れそう。ちなみにスイスの駅には改札口は無い。乗車中に係の人が検札に来るのだが、今回のように長く乗車していると、検札の係員が変わる度にチケットを提示しなければならなかった。
スイス国内列車旅行と題しておきながら、リヒテンシュタイン侯国はスイスとオーストリアに挟まれた世界で6番目に面積の小さな国なので正しくは番外編になるが、自国通貨がなくスイスフランが公式通貨で、リヒテンシュタインが領事を持たない国ではスイスがリヒテンシュタインの利益を代表するなどスイスと密接な関係を築いているため、リヒテンシュタインはスイスの一州だと勘違いしているスイス人もいるとか。
スイス側から入国するには、ザンクトガレン州のザルガンス駅からバスに乗り換え、国境のライン川を越えればそこはもうリヒテンシュタイン。バスに揺られて30分で首都のファドゥーツに到着した。スイスももちろん綺麗なのだが、リヒテンシュタインに入るとよりインフラにお金をかけている印象を受けた。首都だからかよりモダンな建物も多く、ファドゥーツのメインストリートは綺麗過ぎてテーマパークのよう。そして散りかけではあったが、あちらこちらに桜の木が植えられていた。
そしてリヒテンシュタインの人達は皆フレンドリーで親切!地元民らしいバスの乗客からホテル、博物館の人達全てがそうだった。
到着したのは夕方だったが、翌日は雨予報だったので、その日の内にファドゥーツ城まで登ることにした。かなりな急坂を上り到着したお城は改修工事中でその姿は見られなかったが、普通の道路沿いに建っていて物々しい警戒態勢は全くなく何とも長閑。何となくこのお城の佇まいが国民性に共通しているように思えた。
ビューポイントで自撮りをしているアジア人女性がいたので「撮りましょうか?」と声をかけたところ「お願いします。じゃこの高さでこの画角で連写で。まずは練習してみて」と言われレッスンが始まった。練習を経て撮った枚数265枚!あの枚数の中からお気に入りの一枚を選ぶ労力を考えると気が遠くなりそうだが、今どきは普通なのでしょうか?お疲れ様です。でももう頼まれない限り自分から声をかけるのは控えることにしよう。
ホテルチェックインの際クーポンをもらったので、ホテル内のレストランで夕食。ウェイトレスもとても感じが良く、料理も美味しかったがポーションが大きすぎて食べきれなかった。リヒテンシュタインはスイスと同じく物価が高いが、あの量であの値段なら妥当と言えるだろう。
翌日は予報通り雨。なのでメイン通りに全てある博物館、美術館を回る。実は今回どうしてもリヒテンシュタインに来たかった理由の一つとして、2019年に東京であった『リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展』を見逃していたので、それを現地で観たかったのだ。
が!!リヒテンシュタイン美術館はリヒテンシュタインに在らず。それは実はオーストリアのウィーンに存在するのだということを知ったのが、キャンセル不可のホテル予約が済んだ後。何と紛らわしい!
という顛末で来たファドゥーツ。でもとても良かった。メインストリートに現代美術館、国立博物館、切手博物館、宝物殿があり、どこも大きくないので全部見て回って丁度良いぐらい。最後の3つは共通チケット13フランなので、個々でそれぞれ払うよりお得。
普通にファドゥーツを観光するなら日帰りでも十分かもしれないが、あのフレンドリーな人達と接するには泊まってみるのもお勧めです。