湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

安全ってありがたい

日本が世界に誇れるものの一つとして『安全』があると思うが、スイスでも何度もそれを実感している。

以前スーパーで買い物をした際、店員さんとのドイツ語での会話に緊張して慌ててしまい、使用したクレジットカードをリーダーから取り忘れて帰宅してしまった。半日経った後お財布に無い事に気づきパニックになったが、きちんとお店で保管しておいてくれた。

先日はカフェでお茶をした後、ソファの色と同化していた自分のカバンをそのまま置き忘れて来た。お店を出て3分後ぐらいに気がつき、走って戻ったら、その席に座った次のお客さんがお店の人にカバンを預けておいてくれた。

そして2021年12月、ユングフラウヨッホへの玄関口として有名なグリンデルワルトでのこと。まだコロナ禍でレストランに入る際もコロナ予防接種証明とIDが必要だったため、内ポケットにスマホとIDを入れてスキーをしていた。が、そのポケットのファスナーを閉め忘れていたため、転んだ際にゲレンデの上に落としてしまったようだ。他の人の邪魔にならないように急いで立ち上がり、その場を滑り去り、向かったレストランに入る際に紛失に気が付いた。その時点でかなり滑り下りて来てしまっていたため、歩いて戻るのは到底無理。正に顔面蒼白になった。

パートナーのMが私のスマホに電話をかけてみたが反応は無し。転んだ現場まで戻るしかないと、足手まといになる私を置いてMが一人でまたゴンドラで山の上まで上がって行った。その途中、何度か私のスマホに電話をかけていたが、何回目かで誰かが電話に出てくれた。その声の主は1998年の長野オリンピック、スノーボード男子ハーフパイプ金メダリストのジャン・シンメン(Gian Simmen)さん。スイスでは有名人だ。

「拾ったから近くのレストランに預けておくよ。でもこのスマホ、何語?中国語?」

Mが日本語だと伝えると「Arigato!」

いや、お礼を言うのは私の方だ。心の底から感謝した。

Mがレストランまでスマホを受け取りに行くと、IDも誰かが拾って同じレストランに届けてくれていて、その二つを持ってMが戻ってきた。

日本であれば多分「さすが日本!安全だね」とある意味当たり前と思ってしまうかもしれないが、ここは海外。日本に負けず安全な国であることを実感した。

もちろんこれはラッキーなケースなのであろう。スイス在住歴の長い友人も『スイスは安全だけど、遺失物はまず出てこないよ』と言っていた。

でも、ドイツ語学校で一緒だったブラジル出身のKが、『スイスでだったら職業訓練受けて警察官になるのも良いかもね。ブラジルでは犯罪が多すぎて絶対あり得ないけど』と言うのを聞いて、日本やスイスでは当たり前の安全って、むしろ世界的には珍しいのよね、と思ったのであった。

が、この記事を書きながら読み返すと、安全をありがたがるより自分のおっちょこちょいぶりを反省するべきだな・・・。

グリンデルワルトのスキー場