湖畔のひとりごと

スイスでの生活で気づいた事などを綴っています

スイス国内列車旅行:②-1 グレイシャー・エキスプレス(ブリッグ~サンモリッツ)

この日はヴァリス州のブリッグ駅からグラウビュンデン州のサンモリッツまでを6時間20分かけて走るグレイシャー・エキスプレス(GE)での旅。お天気も良さそうで、パノラマウィンドウになっている列車からの景色が存分に楽しめそうだ。

ブリッグ駅に到着したグレイシャー・エキスプレス

ブリッグ駅舎の外にあるプラットフォームから出発するGEは、既にツェルマットから乗車しているお客さんを乗せて到着した。今回は折角なので全て1等車(日本でいうグリーン車。普通車は2等)で。1等車は1列&2列の配席。我々は1列側を向かい合わせで予約できたので二人でゆったり利用できた。実はお隣の2列、4人席にはインド系の60代ぐらいの両親とその子供夫婦風の方々が座っていたのだが、全く会話が無く皆むっつりした表情。勝手に「奥さんとお姑さんの仲が上手くいっていないのかしら?」などといらぬ心配をしてしまったのだが、旅の最後の方にやっと喋った彼らの会話から、たまたま4人席に乗り合わせた2組のカップルだったことがわかった。我々は1列席が取れて本当に良かった。

席に用意されたパンフレットを見ると、何と日本語での説明文!そして日本語でのオーディオガイドもあるという。それだけGEは日本でも有名で、今まで多くの日本人観光客を乗せて来たということなのだろう。ありがたい。

ところが、早速イヤホンを装着し日本語でのガイドを待てど暮らせど何も聞こえてこない。しばらくしてさすがにこれはおかしいと係員に聞くと、

「この号車だけ今朝電気系統が故障してオーディオガイドはご利用いただけません」

えー!だったら乗車した時点で説明して欲しかった。最後にドリンク一杯無料サービスがあったけど、ちょっと割に合わない。かなり見どころを見逃してしまった。そして多分このせいで、我々の号車だけ終始騒がしかった。お隣の号車は皆ガイドを聞いているせいかし~んとしていたのに。

とはいえ、スマホで車内の無料wifiに繋いでデジタルインフォメーションシステムを利用すれば、日本語のオンラインマップとリアルタイムインフォが利用できるので、目線が車窓とスマホの間をキョロキョロと行き来する忙しい時間が始まった。

オーディオガイドは残念だったが、景色は期待を裏切らず本当に素晴らしい。GEからの景色については日本のTVでもいっぱい紹介されているし、ネットからもいくらでも見られるのでここでは詳しく触れるまでもないが、全行程で最大1,448mの標高差があるため、この時期、草原→雪原→草原→雪山と季節がころころと変わったのも楽しかった。夏は夏で素晴らしいだろうが、パノラマウィンドウで陽焼けすることも考慮すると、冬&春を体験できるこの時期はお得かもしれない。

標高が高い地点での車窓からの景色

私は景色を楽しんだり、スマホで説明を読んだりと全く寝る暇などなかったのだが、例のお隣の4人は途中全員ぐっすり寝ていた。勝手にインド系の富豪家族だと思っていた私は「もう世界中旅してこんな景色も見飽きてるのかな?」と思っていたが、後から夫Mが、「仕方ないよ。彼らはツェルマットから乗って来てたから、余計標高差激しかったからね」と言っていた。なるほど、激しい標高差は眠気をもたらすのか。色々勝手に間違った想像をしてごめんなさい。

我々は今回も夕食に重きを置いていたので車内で食事は取らずにサンドイッチを持ち込みしたが、ほとんどの乗客は各テーブルにウェイトレスが運んでくれる食事を楽しんでいた。GEには今やエクセレンスクラスという号車もあり、フルコースの食事とフリードリンクが楽しめるそうだ。乗車前から明らかにエクセレンスクラスの人だろうなと思わせる装いの人も見かけたので、ドレスコードもあるのだろうか?お値段も高いが、席は1列&1列なので他人と相席になることは無いようだ。

色々な街や景色、季節を楽しめたグレイシャー・エキスプレスの旅は大満足だった。スイス人あるあるで今まで乗ったことのなかったMも感激していた。最終地点のサンモリッツに到着した際は、サンモリッツからイタリアのティラーノを結ぶベルニナ・エクスプレスの車両も停車していた。機会があれば次回はこちらも乗車してみたい。

今回も長くなってしまったので、サンモリッツは次回へ続きます。